タイヤのチェック項目のあれやこれや その二

長かった人もいれば短かった人もいる。

そんな今年のGWでしたが、皆さん如何お過ごしだったでしょうか。

平均気温が平年より10℃低かったりとなかなか朝晩の寒さが抜けない4月でしたが、ようやく一定以上の暖かさが出てきたように感じます。が、風が強ければそれなりに肌寒さを感じる陽気です。

前回はタイヤの製造年月日を示すセリアルについての話でしたが、今回はタイヤの接地面にある溝の話になります。

タイヤの接地面(トレッド面と呼ばれる)には、さまざまな模様の溝が切られています。これは「パタン」や「パターン」と呼ばれ、それぞれに「リブ」「ラグ」「リブラグ」「ブロック」の4つの名称が付いています。

上の画像で言えば、これはリブラグ型と呼ばれるもの。

真ん中にあるような大きな3本の縦溝部分だけがあるものをリブ型、側面などにある細かな横溝の部分だけがあるものをラグ型と言います。

そして、そのどちらもある画像のようなタイプをリブラグ型と呼び、縦横の溝が大きくパターンがブロックの様な形状のものをブロック型と言います。

市販されているタイヤは、これらの基本パターンが組み合わせでできており、ここから溝の向きによって装着時の向きが決まってきます。

この溝の主な役割は、接地面と路面との間にある水の排出にあり、この有無で濡れた路面でも、しっかりグリップ力を発揮できるかどうかが変わってきます。他にも、旋回時の安定性や、駆動力・制動力を確保する役目も担っており、上記4つのパターンでそれぞれに道の向き不向きがでてきます。この辺りの詳しい解説は次の機会に。

前置きが長くなりましたが、今回の本題です。

その二、スリップサインの確認。

これは先程のものとは違うタイヤの画像です。

先に出した画像と見比べて貰えればお分かりいただけると思いますが、溝が浅くなり、中にあるスリップサインが出かかっています。

スリップサインとは画像中央で溝の中にあるでっぱり部分の名称で、これの高さは約1.6mmになります。これが地面と接地するという事は、溝の残りが1.6mm以下である事を意味しており、車検を通らないばかりか、法律違反で罰則を課せられます

流石に車検に持ち込んでその場で即罰金、とはなりませんが、これは「道路運送車両の保安基準」の第167条に明記されているものなのでお気を付けください。

また、溝の深さが1.6mmを切っているとタイヤ本来のグリップ力が発揮できずにブレーキを踏んだ際の制動距離が増えます。また走行時の安定性が欠け、特に雨の日の高速道路など、スピードが出ている場面ではタイヤと路面の間の排水性能が低くなって、タイヤが浮く状態になることで、ハンドルやブレーキが効かなくなるハイドロプレーニング現象が発生しやすくなります。

雨天の時のスリップは高速道路だけでなく、通常道路でも例えば白線やマンホールなど表面に凹凸が少ない、凹んだ部分に水が溜まってしまっている物の上を通過する際にも起きる身近な現象なので安易に考え過ぎない方が無難です。

スリップサインは画像の様に太く大きなものなので、こういうものなのだと分かれば比較的分かりやすいものではありますが、それでも中には溝の中に似たような凸があって分かり難い場合もあります。

そういった場合は上の画像の様な△印がタイヤの側面にあるので、そのすぐ横にあるでっぱりがスリップサインになります。

機会があればご自身の目で見て確かめてみてください。

前回は製造年月日。

今回はスリップサイン。

これだけでも十分タイヤの状態を知る事ができますが、まだまだ正確に状態確認をする術はあります。

次回も接地面の溝、トレッド面のパターンの話になります。

それでは良い一週間を。